痔瘻(じろう)の原因と対処法について詳しく説明します

 

痔瘻(じろう)が、痔核(いぼ痔)や裂肛(切れ痔)と大きく違う点はただひとつ、治療をするためには必ず手術が必要になる、という点です。

 

痔瘻を長年に渡って放置していると、化膿をくり返すなどして、まれに「ガン化」することもあるため、手術は必須なのです。

 

このことを頭に入れた上で、今回は痔瘻についてくわしく説明しながら、その症状や対処法についてもお話ししていきますね。

 

痔瘻(じろう)とは

 

痔瘻を簡単に説明すると、肛門線にうみがたまって、瘻管とよばれる管ができ、そのうみが皮膚から出てくる病気ということができます。

 

お尻の皮膚に穴があいてうみが出てくることから「あな痔」とも呼ばれます。

 

以下の図のようなイメージです。

痔瘻のイメージイラスト

 

ほとんどの場合は「肛門周囲膿瘍(のうよう)」という病気から進行することが多く、強い痛み38度をこえる発熱を伴うことが特徴です。

 

症状

 

肛門周囲膿瘍の症状

 

痔瘻になる前の段階として、この「肛門周囲膿瘍」になることが多いです。

 

肛門周囲膿瘍になると、お尻が腫れてとても強い痛みがあります。痛みの種類としては、ズキンズキンという心臓のリズムにあわせた拍動性であることが多くて、触れるとさらに痛みを感じるという特徴があります。

 

そして先ほどもお話ししたとおり、全身症状として38度以上の発熱を伴うことがあります。

 

痔瘻との違い

痔瘻は、うみが皮膚を破って外に排出される状態を言いますが、肛門周囲膿瘍はまだうみが皮膚内部にあり、外に出てきていない状態のことをいいます。

皮膚内部にうみが溜まっているため、

  • お尻の腫れ
  • 発熱

などの症状があらわれるのです。

 

痔瘻の症状

 

肛門周囲膿瘍がすすみ、うみが皮膚を破って外に排出されるようになった状態が痔瘻です。

 

痔瘻になると、排便にかかわらず肛門や痔瘻の出口から、絶えずうみや分泌物が排出されるために下着が汚れてしまうようになります。

 

この「下着の汚れ」は痔瘻を早期に発見するにあたって、とても重要な手がかりになります。

 

下着の汚れの他

  • 皮膚にかゆみを生じたり
  • 鈍い痛みが持続したり

するのも、痔瘻の症状のひとつです。

 

痔瘻が発症する原因

 

肛門の歯状線には、肛門腺窩(せんか)という、ポケット状の小さなが全部で8個〜11個あるんです。

 

歯状線は以下のイラストの赤い矢印部分です。

痔瘻と歯状線

この肛門腺窩は、便が通過する途中にある穴であることから、まれに排便時に便がこの穴の中に入り込んでしまうことがあるんですね。

 

ただ通常は、肛門という場所は細菌に対する免疫力がとても高いことから、便が肛門腺窩に入り込んでしまったぐらいでは通常は炎症をおこすことはないんです。

 

ですが、ストレス疲労が重なって肛門の免疫力が落ちていると

  • 便秘でいきんだり
  • 下痢でたくさんのやわらかい便が勢いよく出たり

して便が肛門腺窩から肛門内に押し込まれただけで、便に含まれている最近の感染を防ぐことができずに炎症を起こしてしまい、痔瘻発症の原因となってしまうんです。

 

痔瘻になりやすい人

 

まずは以下の、痔の患者さんのデータをご覧ください。

痔の患者割合

男女別に見てみると、どちらも痔の症状で最も多いのは痔核であることがわかります。

 

つづいて二番目に多いのが、女性では裂肛(切れ痔)であるのに対し、男性は痔瘻が多くなっています。

 

ちなみに、痔瘻の患者さんの男女比はやはり8:1で男性が圧倒的に多く、また男女ともに20代〜40代の年齢で発症することが多いこともわかっています。

 

このことから、痔瘻になりやすい人としては

20代〜40代の男性」ということができます。

 

痔瘻を予防するには

 

痔瘻に限らず、すべての種類の痔において

  • 排便の異常(便秘・下痢)
  • 肉体的な疲れ
  • 精神的ストレス
  • 体の冷え
  • お酒
  • 女性の生理
  • 長時間の座りっぱなし

 

といった要因が痔を悪化させますが

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痔瘻においては、最も多いのが20代から40代の男性ということで、予防にあたっては以下の点に意識してください。

 

アルコールを飲みすぎない

 

アルコールを飲む人に痔瘻が多いのは、アルコールが原因で下痢になりやすくなるためだと言われています。

 

下痢のような水様性の便は、勢いよく排便される際、便が肛門腺窩に入り込んでしまいやすいのです。

  • 飲酒の量はほどほどにすること
  • 連日の飲酒は控える

ことを意識してくださいね。

 

免疫力を落とさないように注意する

 

免疫力が低下していると、うみが形成されやすくなります。

 

疲れすぎないように

  • 仕事量をコントロールする
  • 自分なりのストレス解消法を実践する
  • 風邪を引いたときは無理をしない

 

など、「そんなこと分かってるけど、仕事でそんなこと言ってられない」と言わず、ご自分の身体のために意識して行動を変化させることが大切です。

 

痔瘻の応急処置

 

痔ろうを疑う症状がある場合、まずは病院で検査を受けることが第一優先です。

 

なぜなら、冒頭でもお話ししたとおり、痔瘻は自然治癒しないだけでなく、長年に渡って放置していると、化膿をくり返すなどして、まれに「ガン化」することもあるためです。

 

ですので、これからお話しする方法はあくまで「応急処置」として使っていただき、病院へ行ける状態になったらまずは先生に診断をしてもらってくださいね。これは本当に大切なことなのであらためて強調させていただきます。

 

応急処置はどうやるの?

 

痔瘻はおしりの「炎症」が原因なので、まずはこれを鎮めるために患部を冷やすことが大事です。

  • うつ伏せになって
  • おしりの上にタオルを置き
  • その上に、ビニール袋にいれた氷や保冷剤などをのせて

冷やしてください。

 

また、肛門の周りがうみで汚れたりベトベトになっていたりしますから、排便後にはシャワーを浴びたり入浴するなどして、おしりを清潔にしておく必要があります。

ポイント
シャワーや入浴時には、せっけんや入浴剤などは使わず、熱すぎないぬるま湯でやさしく流すことを意識してください。