人間が痔になる理由

 

デリケートな病気であることもあって、なかなか公言することが少ない「痔」ですが、ある調査では日本人の3人に1人が痔主であるとも言われています。

 

なぜ、痔になる人はこんなに多いのでしょうか。

 

  • PCなど長時間のデスクワーク
  • 夏でも寒いほど効いたエアコン
  • ストレスフルな生活

 

などなど、現代社会は痔になりやすい生活環境が整っていることがひとつの要因です。

 

ですがそれ以前に、わたしたちが進化の過程で「二足歩行」を選択したことが、そもそもの原因だということを知っていますか?

 

二足歩行による弊害

 

ダーウィンの進化論によれば、わたしたちの先祖は手・足をつかって、いわゆる4本足で生活を送っていました。

 

進化の過程で二本の足で立つようになり、自由になった手で道具などを使うようになったことで高度な文明を築くに至った…なんて、学校の授業のようですが (^ ^)

 

この二本足の選択は、わたしたち人間に多くの恩恵をもたらしましたが、こと「痔」に関して言えば、これは悲劇の始まりだったのです。

 

おしりの構造

 

じつは、「痔」はわたしたち人間のおしりの構造が生む、必然的な病気であると言えるんです。

 

以下のイラストをご覧ください。

括約筋

肛門というのは、周囲にある筋肉「内肛門括約筋」と「外肛門括約筋」の動きで閉じたり開いたりするのですが、

 

じつはこのふたつの筋肉だけでは完全に肛門を閉じることはできず、約1ミリほどの隙間が空いてしまう構造になっているんです。

 

その空いた1ミリの隙間はどう埋めているのか。

 

動脈や静脈など大小の血管があつまった「動静脈叢(どうじょうみゃくそう)」などでできたクッションとなる組織が、その1ミリのすき間を埋めているんです。

 

以下の図で赤く囲った部分です。

クッション部分

この、肛門のすき間を埋めるクッション部分ですが、じつは普段これをつなぎ合わせている結合組織は、30歳を超えると老化による現象でくずれたり切れたりするようになるんです。

 

すると断裂した結合組織の間から動静脈層が肛門内にでてきてしまいます。

内痔核イラスト外痔核イラスト

 

これががいわゆる痔核(いぼ痔)の状態なのです。

 

脳の血管なら破裂? おしりにかかる負担

 

さきほど、老化現象により、肛門のすき間を埋めるクッション部分をつなぐ結合組織が断裂することで痔核ができるとお話ししましたが、

 

クッション部分が切れてしまう原因は、老化だけではありません。

 

排便時のいきみ

 

排便をするときに「いきむ」と、じつに約200mmHgもの圧力が、先ほどお話ししたクッションの役割をする血管にかかることがわかっています。

 

この200mmHgという数字は、脳の血管ならばすぐにも破裂してもおかしくないほど、大きな数字なんです。

 

なので、便秘などが原因で排便時に「いきむ」ことを続けていると、この圧力によるダメージでクッションの役割をする「動静脈叢(血管の集まり)」に負担がかかり断裂をすると、痔が慢性化してしまう恐れがあるのです。

 

重力による荷重

 

普段、わたしたちは特に意識することなく2足歩行の生活を送っていますが、これは「」や「おしり」を中心にとても重心がかかる体勢なのです。

 

重心がかかるということは、その周囲の筋肉や血管が収縮し、血流が悪くなってうっ血しやすくなることを意味します。

 

そしてうっ血すると、老廃物や疲労物質がうまく排出されず、炎症が発生し、痔につながる。。という流れができてしまうんです。

 

二足歩行は人間に多大な恩恵をもたらした一方、「痔」という病気をもたらす結果にもなったんですね…

 

進化

 

ちなみに、痔だけではなく、これまた多くの方が苦しんでいる「腰痛」も、痔と同じしくみで二足歩行の負の恩恵といえます。

 

さいごに

 

なぜ人間は痔になるのか、ご理解いただけたでしょうか。

 

二足歩行へと「進化」したことで、痔という疾患がうまれたと考えると、「いったい進化ってなんなのだろう…」と感じてしまったりしますが (^^)

 

現代人の体の構造は、じつは200万年〜300万年前の人類の構造と基本的に変わっていないとされています。

 

そのころの人類といえば、草原で狩りをして生活を送るなどで、寿命も40年以下だったということです。

 

このころの人類の構造と変わっていないということは、そもそも肛門の構造も今の寿命80年時代には適応できていないと言えそうです。

 

とはいえ、体の構造は一朝一夕に変えることはできませんから、

やっぱり、生活習慣を整え、痔になりにくい生活をすることからはじめることが一番大切なことだと思います。